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2017年05月08日

自治体の給与補助施策から保育士の賃金について考える

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保育士の給与を改善する動きが各地で始まっている

2016年の「ユーキャン新語・流行語大賞」のトップ10に「保育園落ちた日本死ね」が選ばれ、毎日のように待機児童問題関連のニュースが取り立たされ、ここ最近話題に事欠かない「保育業界」。
問題が多いからこそ、自分がその問題を解決する一役を担いたいと思う方も多いのではないでしょうか。行政もそんな状況を受けて、保育人材の確保に向けた様々な施策を行っています。
人材の確保で一番重要と言ってもいいのが、賃金問題改善です。保育士の給与が仕事内容に対して低いことは、以前から指摘されてきました。「保育士の給料は安い」と言われていては、求職活動中の人も保育士に対して魅力を感じられませんよね。
全国的に見ると保育士の給与は比較的低い方かもしれませんが、働く場所によって受けられる行政サービスが違い、給与面にも差が出てきます。保育士の給与改善に関する各地の動きを紹介します。

保育士の給与に関する日本全体の取り組み

まずは、厚生労働省が行っている給与改善の取り組みを紹介します。
厚生労働省では、待機児童問題を解消するために、平成29年度末までに約40万人分の保育の受け皿の確保を目標としています「保育士として働きたい!」と思ってくれる人が少しでも増えるように、民間の保育士、公務員保育士ともに賃金を多くする施策が行われています。

◆民間保育所で働く保育士の給与を改善
・平成27年4月から新しくスタートした子ども・子育て支援新制度において、民間の保育士の給与が平均3%改善
・平成26年度の公務員給与の見直しに準拠し、保育士の給与が平均2%改善

◆2017年度から約6000円の月給引き上げを発表
2016年4月に行われた「1億総活躍国民会議」の中で、2017年度から保育士の月給を2%増に当たる約6000円を引き上げることが発表されました。

◆2017年4月より、役職を設けて昇給を支援する制度を開始
保育士の給与の問題点として、勤続年数による昇給が図られにくいということが挙げられます。園長と主任のほかに役職がないことが多いので、20代後半~30代前半の昇給が見込めないのです。そういった保育士の構造を見直すために、主任の前段階として「副主任保育士」、保育に関する専門的な知識や技術を要した「専門リーダー」という、中堅層が目指しやすい役職が設置されました。勤続年数をクリアし、研修を修了すると、月額4万円の昇給が見込めます。

こうした国が行っている保育士給与に関する取り組みは着実に実を結んでいます。昨年12月に発表された保育士の給与実態調査の中間結果によると、私立保育所で働く常勤保育士の2012~15年度の合計の賃上げ率は14.2%、公立でも15%となっています。これが日本全体で行われている保育士給与改善に関する施策です。
(あくまでも一部であることを理解ください)

自治体独自の給与改善に関する取り組み

都道府県ごと、市区町村ごとで行われている給与改善に関する取り組みを紹介します。
概ね待機児童数が多い地域は、保育士に関する手当てや行政サービスが手厚い傾向にあります。

◆勤務年数によって給与補助「なりた手当」【千葉県成田市】
成田市内の私立保育施設で勤務する保育士の給与増を図るため、2017年度より新たな保育士給与補助制度「なりた手当」が始まります。この手当は、市内で保育士として働いた勤務年数に応じて6段階の補助額が設定されています。市内の保育士に若手とベテランが多い現状を受けて、中堅層の確保を図る思惑があります。2017年度には新たに7施設の保育園が開園することが決まっています。

◆2017年度より保育士1人あたり現在より月額約2万1,000円を上乗せ【東京都】
2017年度より保育士1人あたりの給与補助を、現在より月額約2万1,000円上乗せする方針が発表されました。東京都で働く保育士の方は月額平均で合計約4万4,000円の補助が受けられる見込みです。2016年3月分の常勤保育士の給与は公立で約28万7,000円。金額は国の補助分と合わせて、幼稚園教諭などの平均32万円の水準に到達するように設定されました。

◆保育士確保に独自の奨学金【群馬県太田市】
太田市では市内で働く保育士を確保するために保育士養成校の新入生を対象に学費を補助し、市内で保育士として5年間勤務すれば、奨学金の返済を免除するシステムを実施しています。群馬県内でも奨学金制度はありますが、市区町村でこの制度を始めたのは県内では初めてのことです。

◆私立保育士給与を2%増【岡山県岡山市】
待機児童数が全国ワースト2位の岡山県岡山市。そんな状況を受けて、市内の私立認可保育所で働く保育士給与を平均で2%(月額約6千円程度)引き上げる独自の給与補助制度が2017年度より始まります。実は保育士はあらゆる職種の中でも「官民格差」が大きい職種として知られています。給与水準が低い私立保育園を対象に、各地で給与の補助が行われています。

保育士の待遇は日に日に改善されている

低い、低いと言われてきた保育士の給与ですが、年を追うごとにどんどん改善されてきています。
一つの自治体の行政サービスをモデルに、全国に波及することはよくある話で、最近ではとりわけ保育士の給与に関する動きが顕著です。保育士の給与補助施策は次々に新しいものが出てきているので、常に新しい情報をチェックしていてください。シンプルな給料の上乗せだけでなく、地域ごとに補助制度の特色があります。
問題視されている分、解決への動きも活発なので、保育士の給与に関しては、未来はかなり明るいと思います。